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被災地復興と弁護士

被災地復興と弁護士

はじめに

東日本大震災で被災した自治体では、2014年10月時点で、計11名の弁護士が自治体職員として働いています。具体的には、岩手県、山田町、宮城県、石巻市、東松島市、気仙沼市、富谷町、福島県、郡山市、相馬市、浪江町の11自治体で、各1名が勤務しています。いずれも、東日本大震災では、地震、津波、原子力発電所事故のいずれかの被害に見舞われた自治体です。

弁護士職員の業務内容

弁護士が自治体で職員として勤務する場合、通常は、職員の日常業務に対する法律知識のアドバイス、住民からの要望・クレーム対応、公共事業に関連する契約書の作成・確認、条例制定時の憲法・法律との整合性のチェック、自治体が訴訟当事者となっている裁判の代理人業務などを行っています。
しかし、被災地の自治体の場合、上記に加えて、被災地特有の法律関連業務もあります。具体的には、
①住民の生活再建のサポート
家族を亡くされたり、家や仕事を失うなど、生活再建の課題は多岐に渡ります。そのため、相続、住宅ローン、仮設住宅からの退去、公営住宅への入居などについての相談・資料作成の業務があります。
②復興まちづくりのための土地の確保
津波浸水エリアから高台エリアへの移転において、地権者との交渉や契約書作成の業務があります。
③原発事故の損害賠償への対応
自治体が電力会社に対して除染費用や検査費用などについて損害賠償請求する場合に、損害賠償の範囲や賠償額の算定などを検討する業務があります。
④中央省庁・弁護士会・住民等との連携・交渉
予算措置、法律・制度の創設・改正、住民説明会・公聴会などに関連する業務があります。

弁護士職員採用の効果

弁護士職員採用の効果としては、まず、自治体の内部では、業務全体のスピードが上がるという効果があります。なぜなら、必要が生じる度に法律事務所に行くのではなく、自治体内部で同じ立場の職員として、迅速、気軽に、腹を割って話がしやすいからです。
また、自治体の政策提言能力や国との交渉力が増大するという効果も表れています。なぜなら、弁護士は法律全般の知見を有しかつ弁護士会等の他方面にパイプを持っているため、説得力が上がったり、交渉を有利に進めやすいからです。具体例としては、まちづくりを加速させるための土地収用手続や都市計画の規制緩和を認める法律改正の提案があります。岩手県職員、岩手県で勤務する弁護士職員、岩手弁護士会が作成した提言をもとに、最終的には、自治体の現場の声が国の法律を動かすにまで至りました(2014年、東日本大震災復興特別区域法の改正)。

このように、弁護士としては、被災地の復興支援に直接に関わっていく働き方もあるのではないでしょうか。

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