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日弁連、「給費制」復活を求め集会

日弁連、「給費制」復活を求め集会

日本弁護士連合会(日弁連)は6月3日、司法試験の合格者が、「無給・原則バイト禁止」の状態で司法修習を受けなければならない現状の制度(貸与制)につき、東京・永田町で国会議員との意見交換会を開いた。
会場には、法曹関係者など400人が集まり、国が給与を支払う給費制の復活を訴えた。

現行の「貸与制」がもたらす弊害

司法試験に合格したとしても、1年間の司法修習を終えなければ弁護士、裁判官、検察官になることはできない。
そして、期間は1年と短期間であり、司法修習生は司法修習に専念しなければならない。
ところが、現在の司法修習においては給与は支払われず、希望者に貸与する形で支払われ、修習後一定の期間を経過した後に、返済をしなければならない。
これは、1年間の修習中にかかる生活費や就活のための交通費等の必要費相当額を事後的に返済するのと同義であるため、修習生に大きな経済的負担を強いることになる。
そして、その経済的負担を懸念し、修習を受けない司法試験合格者もおり、優秀な法曹となりうる人材を確保できないおそれもある。
現在は、裁判所の許可を得た場合に限り、アルバイトを行うこともできるが、可能な職種は限定され、採用人数も多くはない。そのため、アルバイトを行いながら、修習に励める修習生はかなり少数である。
アルバイトのために修習を早めに切り上げて帰宅したり、修習時の講義中に内職をしているとの報告もあり、充実した修習生活をすごせていないとの指摘もなされている。
また、貸与金の返済のために、和解や示談等により早期解決に持ち込める事件をわざと長期化させ、依頼者に必要以上の多額の金銭を支払わせるような悪質な弁護士の出現も懸念されている。
現在、弁護士の就職難も問題視されており、このような弁護士が出現する可能性は十分に起こりうる。
もし、それが現実となれば、弁護士に事件の対応を委任する国民の金銭的負担が増加し、事件解決の長期化による精神的負担も増加する。

「給費制」復活がもたらす影響

現行の法曹養成制度については、様々な問題が指摘され、制度全体の改善策が検討されている。法曹養成過程での経済的負担もその一つである。
貸与制が導入される以前は、アルバイトを含む兼業が全面的に禁止される代わり、司法修習生には国から給与が支払われていた。
この「給費制」の復活を希望する声は多く、復活すれば、修習中の必要費を返済する必要はなくなる。
したがって、法曹希望者の経済的負担は大きく軽減されることは確実といえる。
その結果、経済的理由により、修習を断念する合格者も減り、優秀な法曹となりうる人材をより確保しやすくなる。
そして、アルバイトにより必要費を稼ぐ必要もなく、修習生はより修習に専念することができるであろう。
そうであれば、「法律実務に関する汎用的な知識や技法と,高い職業意識や倫理観を備えた法曹を養成する」という司法修習の目的を達成しやすくなるといえる。
さらに、弁護士になってからも貸与金の返済をしなくていいため、悪質な弁護士の出現可能性も下がるように思える。
それにより、国民に対しても、事件解決のために必要以上の金銭的負担および精神的負担を負わせる不利益も回避できる。
もっとも、この問題を抜本的に解決するには弁護士の就職難という問題の解決も必要であろう。

「貸与制」廃止および「給付制」復活は実現しうるか

実際にも、日弁連による集会に先立ち、給費制復活に向けて、表明運動を行っている弁護士いる。
中には訴訟を通し我々国民へ、給費制復活を広く表明する目的も兼ねて国家賠償請求訴訟を提起したケースもある。
しかし、貸与制は、「合格者数3000人」という当初の制度目標に従った合格者の増加に伴い、現状の制度を維持するための財政上の必要性から設けられたものである。
2015年、政府は当初の目標を撤廃し、1500人程度に削減することを目標としているが、給費制が維持されていた旧制度下の500人程度と比較すると3倍の数を確保することになる。
そして、現行の制度上、国家予算に基づく補助金の給付により法科大学院を維持する必要もある。
そうだとすると、給費制の復活を実現させるには、まずは予算の確保が必要であるように思える。

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