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成年後見制度と弁護士

成年後見制度と弁護士

現在、日本は超高齢化社会(65歳以上人口が全人口の21%以上)に突入しており、高齢者の割合は今後も増加していく。そのため、認知症高齢者等に対応するために成年後見制度の利用がさらに進み、その点での弁護士の業務も増加していくだろう。

そこで以下では、成年後見制度の利用の現状と問題点について簡単に説明します。

成年後見制度の利用の現状

成年後見制度とは、判断能力を欠くのが通常の状態である本人のために、成年後見人が、本人の利益を考えて、本人を代理して法律行為を行ったり法律行為に同意したりする制度です。特に財産に関しては、成年後見人は、すべての法律行為を代理できるという強力な権限を有します。そして、成年後見人は、親族等の申立に基づいて家庭裁判所が選任します。
この制度の目的は、財産管理と身上監護にあります。実際の利用目的でも、40%が預貯金等の管理・解約、17%が介護施設入所のための介護保険契約締結、その他には悪徳商法への対応などもあります。また、利用者の70%程度が70歳以上となっています。
申立件数は、年々増加しており、2000年時には9007件でしたが、2012年には3万4689件にまで達しています。これら申立のおよそ9割で認容されています。

そして、成年後見人を利用する本人の総数は、2012年末で13万6484人でした。成年後見人になっている者の属性の内訳は、最多が本人の子で25%、次いで弁護士14%、司法書士19%、社会福祉士9%となっています。しかし、4年間の推移を見ると、子は7ポイント下落する一方で、弁護士は5ポイント増加(人数自体では2倍に増加)しています。
2030年頃には成年後見人を利用する本人の総数は24万人にもなると推計されており、今後、成年後見人を確保できなくなることが懸念されています。

成年後見制度の利用の問題点

まず、成年後見人は、現実的には、制度が想定する役割を超える業務を求められることがあります。例えば、本人が独身で親族との関わりもない場合に、本人が病気で倒れると、医師からは医療行為を行うかどうかの判断を求められることがありますが、成年後見制度は成年後見人がこうした判断をすることを想定していません。また、本人が亡くなった場合は、葬儀や病院への支払いも問題となります。なぜなら、制度上は、成年後見人は本人の死亡によりその業務を終了すると規定されているからです。
また、弁護士を含む成年後見人の不正(横領等)も増加しています。制度上は、家庭裁判所の監督があるだけで、運用上、その監督も実効的にはなされていないとの指摘もあります。つまり、成年後見人は裁判所に対して定期的な報告義務を負っていますが、報告時期・内容は、各裁判所・担当裁判官や事案等によって流動的で、また報告書等からでは不正発見は困難だとも言われています。

このように、現状課題はあるものの、高齢化社会による需要の高まりに応えていくために、弁護士が成年後見人の業務を担当する場面は今後ますます増加していくと思われます。

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