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将来分賠償を認める判決を勝ち取った弁護士

将来分賠償を認める判決を勝ち取った弁護士

【概説】

 第4次厚木基地騒音訴訟の東京高裁判決が7月30日に出された。「画期的な判決」・「大きな前進」等のニュースが流れ、それを耳にした者もいることだろう。今回は、基地騒音訴訟で初めて将来における損害賠償請求を勝ち取った事案を紹介する。

【第4次厚木騒音訴訟】

 第4次厚木騒音訴訟とは、神奈川県にある海軍飛行場の軍事基地での航空機の騒音問題に関する訴訟で、4000人を超える原告が訴えを起こしている。この訴訟では、民事訴訟及び行政訴訟として、自衛隊機と米軍機の飛行差し止め・過去と将来分の損害賠償請求がされている。今回の高裁判決は、自衛隊機の飛行差し止め及び過去の損害賠償請求を認めただけでなく、将来分の損害賠償請求も認めた点が注目される。
 将来分の損害賠償請求ときいて、法律を学ぶ者ならある判例が頭に浮かぶはずだ。そう、大阪国際空港訴訟である。以下において、継続的不法行為の将来給付の訴えの判例である、大阪国際空港訴訟を紹介する。

【大阪国際空港訴訟】

 この訴訟でも、厚木騒音訴訟と同じく、航空機の飛行の差止め・過去と将来分の損害賠償請求がされていたが、このなかで将来分の損害賠償請求に関しての判断に着目したい。
 継続的不法行為における損害賠償請求権は、
(1)「請求権の基礎となるべき事実関係及び法律関係がすでに存在し、その継続が予測され」
(2)「請求権 の成否及びその内容につき債務者に有利な影響を生ずるような将来における事情の変動」が「あらかじめ明確に予測しうる事由に限られ」
(3)「請求異議の訴えによりその発生を証明してのみ執行を阻止しうるという負担を債務者に課しても格別不当とはいえない」
これら全てを満たした場合に限り請求の適格性が認められると判断された。簡潔にいうと、将来の請求権が現実化する蓋然性・あらかじめ給付を受ける必要性・当事者間の衡平性といえよう。

【コメント】

 大阪国際空港訴訟では、将来分の損害賠償請求は認められなかったのに対して、第4次厚木基地騒音訴訟では、同種訴訟で初めて将来分の損害賠償請求が認められるという画期的な判決が出された。また、裁判史上初めて軍用機の飛行差し止め請求を認めた第一審の判断を維持した点でも躍進的といえよう。法曹を志す者の中には、自分で道を切り開きたいという野望を持った者も多いのではないだろうか。今回の判決は、弁護士がこれまで出されなかった判決を勝ち取ったという点で、道を切り開くというのはどういうことなのかをイメージする参考になろう。
 

【参考】

第4次厚木爆音訴訟原告団
http://www.asahi-net.or.jp/~wu9m-situ/

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