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人口知能の登場と弁護士業務

人口知能の登場と弁護士業務

1.概要

 人工知能(AI)の技術向上が、弁護士業務にも大きな影響を与えつつある。AIを積極的に活用して競争に先んずる弁護士がいる一方、AIに業務を奪われ、あるいはその指揮下での仕事に甘んずる事態も既に現れてきている。業界の未来予測と対処法として、この問題とどう向き合ってゆけばよいのか、軽く紹介する。

2.人口知能で変わりゆく業界態様

 AIを使う立場としては、その登場は好材料である。髙取芳宏弁護士は、既にAIを裁判に活用して証拠精査を行っている。多い時は段ボール300個分にもなる膨大な訴訟資料を電子化し、AIに語句や文脈を検索させて、効率的に、特別重要な資料をピックアップしているという。

 一方、人口知能が弁護士業務を奪う事態も進行しつつある。現在、アメリカでは弁護士の仕事の一部で、既に代替が始まっている。 2015年初めに放映された、NHKスペシャル「NEXT WORLD 私たちの未来」では、米国の弁護士事務所が登場した。今までアメリカの大手法律事務所は業務構造がピラミッド型で、エリート弁護士が法廷に立ち、そのための判例等資料を中堅弁護士が用意・作成し、その資料を若手がチェックする、といった体制にあった。人工知能導入後は、資料の用意・作成はその人工知能が代替するようになり、中堅弁護士の業務は必要なくなってしまった。人工知能の作成データや文章のチェックの仕事は下級弁護士に未だ任されているものの、もはやAIの作業範囲の限度で仕事をしているに過ぎず、彼らの年収は300万~400万円程度に落ち着く可能性がある。

 10年後以降、人工知能は技術開発によって、ついには言語の意味を理解し、運用する能力を獲得するかもしれないと言われている。もしそうなれば、さらに高度な弁護士の業務までも、人工知能への代替は進みかねない。

3.今後生き抜いていける弁護士像とは

 とはいえ「人であってほしい職業」は消失しない。大切なのは、これから起きるかもしれない変化を認識し、備えてゆくことではないだろうか。 弁護士として求められる能力というのは、「法律知識の当てはめや文章作成」だけではない。「人との対話・交渉能力」は血の通った人間にしか持ち得ない。法廷での訴訟担当だけでなく、例えば、訴訟以前の法律交渉でも、相手はどのようなことを考えているのか、その心を読んで、次の一手を打つ。そうすることによって、合意と解決の見通しを立てる能力は、人間の弁護士でないとできない仕事だ。

 また、弁護士は第一にサービス業である点を忘れてはならない。人との人間関係というものを円滑にしてゆき、顧客にとって温かみ・親しみの持てるよう努力していくことのできる弁護士が、今後、生き残っていくだろう。

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